免震支承材

免震支承材

マルチシアスプリング要素

弾性すべり支承を除いた免震部材はマルチシアスプリング要素でモデル化します。(ただし、静的解析時は弾性すべり支承もマルチシアスプリングでモデル化されます。)

「剛性条件」「免震部材のモデル化」で「せん断力によって発生するモーメントを考慮する」とした場合には剛域付きせん断ばねとしてモデル化し、「せん断力によって発生するモーメントを考慮しない」とした場合には剛域なしのせん断ばねとしてモデル化します。

剛梁付きせん断ばね マルチシアスプリング要素

マルチシアスプリングは各方向の特性を同一にするためのモデル化であり、バネ本数を増やすとその分各ばねの剛性および耐力の低減率が変化します。RESP-Dにおけるマルチシアスプリングは常に8本としてモデル化されます(ただし、弾性でばねを分散させる必要がない天然ゴム系積層ゴムは2本としてモデル化されます。)

剛性低減率: $\frac{2}{n}$

耐力低減率: $\frac{1}{ \sum_{i=1}^{n/2} \left( \cos \left( \frac{\pi}{n} \cdot (i-1) \right)+ \sin \left( \frac{\pi}{n} \cdot (i-1) \right) \right)}$

参考までに各ばね本数と低減率を示します。

本数246816
剛性低減率1.000000.500000.333330.250000.12500
耐力低減率1.000000.414210.267950.198910.09849

摩擦ばね要素

弾性すべり支承は摩擦ばねによりモデル化します。摩擦ばねはバイリニアばねでモデル化された擬似的な摩擦要素です。摩擦によって変位が固定されたり、滑ったりする状況を擬似的に表現します。マルチシアスプリングとの違いは、以下になります。

・剛性低下(滑り出し)の判定がベクトルとしての合力で評価されます。

・発生するせん断力による曲げを伝達しません。

例えば、マルチシアスプリングで摩擦を表現した場合、純粋なX方向加力で滑り出したとしてもY方向に対してはまだ剛性を有した状態になります。一方で摩擦ばねではベクトルの合力により滑りを判定するため、滑り状態に達していればどの方向に対しても剛性低下した状態として評価できます。

発生する水平力は下記のようになります。

$$ Q = \begin{align} \left\lbrace \begin{array}{ll} \displaystyle K_1 \times \delta & \displaystyle \left( Q < Q_{max} \right) \\ \displaystyle Q_{max} & \displaystyle \left( Q_{max} \leq Q \right) \end{array} \right. \end{align}$$

$Q_{max}$:最大摩擦力 $( = μ×N )$

$μ$ :摩擦係数

$N$ :長期軸力

指定により、変動軸力を考慮可能です。 考慮した場合、計算安定性が損なわれる場合があります。

$K1$ :弾性剛性

$δ$ :水平変位