鉄骨鉄筋コンクリート造梁の断面検定
記号説明
$b$ :コンクリート梁幅(mm)
$D$ :コンクリート梁せい(mm)
$d_t$ :引張縁から引張鉄筋重心までの距離(mm)
$l$ :部材長、内法(mm)
$M_L$ :長期設計用曲げモーメント(kN・m)
$M_{sn}$ :積雪荷重による曲げモーメント(kN・m)
$M_{E1}$ :正加力時の地震荷重による曲げモーメント(kN・m)
$M_{E2}$ :負加力時の地震荷重による曲げモーメント(kN・m)
$M_s$ :短期設計用曲げモーメント(kN・m)
$_sZ$ :鉄骨の断面係数(mm3)
$M_{E1}$:正加力時の地震荷重による曲げモーメント(kN・m)
$M_{E2}$ :負加力時の地震荷重による曲げモーメント(kN・m)
$_sM_A$ $_L$ :鉄骨部分の長期許容曲げモーメント(kN・m)
$sM_A$ $_S$ :鉄骨部分の短期許容曲げモーメント(kN・m)
$_ra_t$ :引張鉄筋の断面積(mm2)
$rM_A$ $_L$ :鉄筋コンクリート部分の長期許容曲げモーメント(kN・m)
$rM_A$ $_S$ :鉄筋コンクリート部分の短期許容曲げモーメント(kN・m)
$M_A$ $_L$ :長期許容曲げモーメント(=sMAL+rMAL)(kN・m)
$M_A$ $_S$ :短期許容曲げモーメント(=sMAS+rMAS)(kN・m)
$M_L/M_A$ $_L$ :長期曲げモーメントの検定値
$M_S/M_A$ $_S$ :短期曲げモーメントの検定値
$Q_L$ :長期荷重によるせん断力(kN)
$Q_{sn}$ :積雪荷重によるせん断力(kN)
$Q_E$ :地震荷重によるせん断力(kN)
$Q_W$ :風荷重によるせん断力(kN)
$p_w$ :せん断補強筋比(%)
$α_L$ :長期のせん断スパン比による割り増し係数
$α_{S1}$ :短期正加力時のせん断スパン比による割り増し係数
$α_{S2}$ :短期正加力時のせん断スパン比による割り増し係数
$_rM_u$ :鉄筋コンクリート部分の終局曲げ強度(kN・m)
$_sZ_p$ :鉄骨の塑性断面係数(mm3)
$_sM/M$ :鉄骨部分の曲げ負担率
$_sM$:鉄骨部分の許容曲げモーメント
(= $_sM _{AL}$ または $_sM _{AS}$)(kN・m)
$M$:設計用曲げモーメント(kN・m)
$_sQ_L$ :鉄骨部分の長期設計用せん断力(kN)
$_sQ_D$ :鉄骨部分の短期設計用せん断力(kN)
$_rQ_L$ :鉄筋コンクリート部分の長期設計用せん断力(kN)
$_rQ_D$ :鉄筋コンクリート部分の短期設計用せん断力(kN)
$_sQ _{AL}$ :鉄骨部分の長期許容せん断力(kN)
$_sQ _{AD}$ :鉄骨部分の短期許容せん断力(kN)
$_rQ _{AL}$ :鉄筋コンクリート部分の長期許容せん断力(kN)
$_rQ _{AD}$ :鉄筋コンクリート部分の短期許容せん断力(kN)
曲げモーメントに対する検討
設計用曲げモーメントが許容曲げモーメントを下回ることを、以下の検定式による確認します。
$ M_L/M_{AL} \verb|≦| 1.0 $ (長期曲げモーメントの検定)
$ M_S/M_{AS} \verb|≦| 1.0 $ (短期曲げモーメントの検定)
a) 許容曲げモーメント(単純累加式)
許容曲げモーメントは、鉄筋コンクリート部分と鉄骨部分の累加(単純累加式)により算定します。
$M_A = {_s}M_o+{_r}M_A$$M_A$:許容曲げモーメント(N・mm)
$_sM_0$:鉄骨部分の許容曲げモーメント(N・mm)
${_s}M_o = {_s}Z \cdot {_s}f_t$
$_sf_t$:鉄骨の許容引張応力度(N/mm2)
$_rM_A$:鉄筋コンクリート部分の許容曲げモーメント(N・mm)
${_r}M_A = a_t \cdot f_t \cdot j$
$f_t$:主筋の許容引張応力度(N/mm2)
j:応力中心間距離(=7/8・d)(mm)
d:有効せい(= $D-d_t$)(mm)
せん断力に対する検討
設計用せん断力が許容せん断力を下回ることを、次式により確認します。
$_sQ_L$ $\verb|≦|$ $_sQ _{AL} $ および $_rQ_L \verb|≦| _rQ _{AL} $ (長期せん断力の検定)
$_sQ_D$ $\verb|≦|$ $_sQ _{AD} $ および $_rQ_D$ $\verb|≦|$ $_rQ _{AD} $ (短期せん断力の検定)
a) 許容せん断力【SRC規準】
鉄骨および鉄筋コンクリート部分の許容せん断力はSRC規準により算定します1)。
鉄骨部分の許容せん断力( $_sQ_A$)は下式により求めます。
${_s}Q_A = t_w \cdot d_w \cdot {_s}f_s$$t_w$:鉄骨のウェブ厚さ(mm)
$d_w$:鉄骨ウェブのせい( $=H-2・t_f$)(mm)
$_sf_s$:鉄骨の許容せん断応力度(N/mm2)
鉄筋コンクリート部分の許容せん断力( $_rQ_A$)は下式によります。
$_rQ_A$ = $min$ ( $_rQ _{A1} $, $_rQ _{A2} $)
$_rQ _{A1} $ = $b \cdot {_r}j \cdot ({_r}a \cdot f_s+0.5 \cdot p_w \cdot {_w}f_t)$
$_{r}Q _{A2}$ = $b \cdot _rj \cdot \left( 2 \cdot \frac{b'}{b} \cdot f_s+p_w \cdot _wf_t \right)$
$_rj$:鉄筋コンクリート部分の圧縮側と引張側の応力中心間距離(=7/8・ $_rd$)(mm)
$_rd$:有効せい(圧縮縁から引張主筋重心までの距離)(mm)
$_ra$: せん断スパン比による割増係数
( $α_L$, $α_{S1}$, $α_{S2}$)
$ _ra = \frac{4}{_rM/(_rQ \cdot _rd)+1} $ かつ $ 1 \verb|≦| _ra \verb|≦| 2 $
$_rM$:鉄筋コンクリート部分の設計用曲げモーメント(N・mm)
左端、中央、右端の設計用曲げモーメントのうちの最大値とする。
$_rQ$:鉄筋コンクリート部分の設計用せん断力(N)
左端、右端の設計用せん断力のうちの大きいほうとする。
$f_s$:コンクリートの許容せん断応力度(N/mm2)
$p_w$:あばら筋比( $=a_w/(b・x)$)(小数)
$p_w$が0.6%を超える場合は0.6%として算定する。
$a_w$:1組のあばら筋の断面積(mm2)
$x$:あばら筋の間隔(mm)
$_wf_t$:あばら筋のせん断補強用許容引張応力度(N/mm2)
$b'$:鉄骨フランジ位置でのコンクリートの有効幅(mm)
$b'$=コンクリート梁幅(b)-鉄骨フランジ幅(B)
b) 設計用せん断力
【構造規定】
SRC大梁設計用せん断力決定方法を「構造規定」とした場合、鉄骨部分および鉄筋コンクリート部分の設計用せん断力は以下により算定します2)。
■長期設計用せん断力
鉄骨部分の長期設計用せん断力( $_sQ_L$)、鉄筋コンクリート部分の長期設計用せん断力( $rQ_L$)は次式により算定します。
$ _sQ_L = \frac{_sZ}{_sZ+_ra_t \cdot _r j} \cdot Q_L $ (鉄骨部分)
$ _rQ_L = \frac{_ra_t \cdot _r j}{_sZ+_ra_t \cdot _r j} \cdot Q_L $ (鉄筋コンクリート部分)
■短期設計用せん断力
鉄骨部分の短期設計用せん断力( $_sQ_D$)、鉄筋コンクリート部分の短期設計用せん断力( $rQ_D$)は次式により算定します。
$_sQ_D$ = ${_s}Q_L$ + $\frac{_sM_1+_sM_2}{l'}$ (鉄骨部分)
$_rQ_D$= $min$ ( $_rQ _{D1}$, $_rQ _{D2}$) (鉄筋コンクリート部分)
$_rQ _{D1}$ = $_rQ_L$ + $ \frac{_rM_1+_rM_2}{l'}$
$ _rQ _{D2}$ = $n \cdot (Q_L+Q_E-{_s}Q_D) $
$_sM_1$:鉄骨部分の一端の短期許容曲げモーメント(N・mm)
$_sM_2$:鉄骨部分の他端の短期許容曲げモーメント(N・mm)
$l'$:梁の内法スパン(mm)
$_rM_1$:鉄筋コンクリート部分の一端の終局曲げモーメント(N・mm)
$_rM_2$:鉄筋コンクリート部分の他端の終局曲げモーメント(N・mm)
$n$:割増係数
積雪時、暴風時においては、長期および短期設計用せん断力算定式の $Q_L$を $Q_L+QSn、Q_L+Q_W$に置き換えて求めます。
【SRC規準】
SRC大梁設計用せん断力決定方法を「SRC規準」とした場合、鉄骨部分および鉄筋コンクリート部分の設計用せん断力は以下により算定します2)。
■長期設計用せん断力
鉄骨部分の長期設計用せん断力( $_sQ_L$)、鉄筋コンクリート部分の長期設計用せん断力( $_rQ_L$)は次式により算定します。
$_sQ_L = \frac{_sM_d}{M_L} \cdot Q_L$ (鉄骨部分)
$_rQ_L = \frac{_rM_d}{M_L} \cdot Q_L$ (鉄筋コンクリート部分)
ここで、 $ _sM_d = {_s}M_o $ 、 $ _rM_d = M_L-{_s}M_d $
■短期設計用せん断力
鉄骨部分の短期設計用せん断力( $_sQ_D$)、鉄筋コンクリート部分の短期設計用せん断力( $_rQ_D$)は次式により算定します。
$ _sQ_D = \frac{_sM_d}{M_S} \cdot (Q_L+Q_E) $ (鉄骨部分)
ここで、 $ _sM_d = {_s}M_o $ 、 $ _rM_d = M_S-{_s}M_d $
1) 日本建築学会:鉄骨鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説;P.14-16,1987.6
2) 国土交通省:2007年版建築物の構造関係技術基準解説書;P.664-665,2007.8