鉄筋コンクリート造水平接合面の検討

計算条件>断面算定計算条件>RC造条件2>水平接合面の検討にて「検討する」を選択した場合、「PCa」を選択した部材のみ水平接合面の検討を行います。
材軸平行接合部のせん断強度が、設計用せん断応力度を上回ることを確認します。
水平接合面で検定対象とする位置は、鉛直荷重時:両端上端、地震荷重時:上端引張となる端部のみとします(通常の応力状態では上端引張で決まるため)。
T形梁のスラブは、以下の条件とします。

  • 鉛直荷重時使用限界状態検討における $S_y$算定時のスラブ幅は、異種強度梁の協力幅指定に従います(1-1.および1-2.参照)。
  • スラブ厚は、計算条件>剛性計算条件>剛性条件1>各層スラブ厚の設定の値に従います。ただし、構造スラブがある場合は、構造スラブの厚さが優先されます。
  • スラブ鉄筋は、計算条件>部材復元力特性計算条件>終局耐力条件2の「略算式スラブの設定」または「平面保持スラブの設定」にあるスラブ筋断面積を、T形梁の片側スラブ有効幅内にあるスラブ鉄筋とします。

使用限界状態における設計用せん断応力度

下式により求めます。

$\tau_{xy} = \frac{Q \cdot S_y}{b \cdot I}$

ここで、
$Q$:部材断面に作用するせん断力
$S_y$:水平接合面より外側(断面縁側)のコンクリートの、図心位置からの断面一次モーメント
$b$:接合面の幅(梁幅)
$I$:T型梁の図心まわりの断面二次モーメント(応力計算で用いる値と同じものとします。ファイル>データ変換出力>csv出力>断面性能出力>大梁断面性能で確認できます。)

終局限界状態における設計用せん断応力度

下式により求めます。

$\tau_{xy} = \frac{\Delta T}{b \cdot \Delta l}$

ここで、
$\Delta T$:区間長さにおいて、水平接合面より外側(断面縁側)に含まれる引張鉄筋(T形梁ではスラブ鉄筋も含む)の応力変化量
$\Delta l$:区間長さ

区間長さ $\Delta l$(現場打ち同等型プレキャスト鉄筋コンクリート構造設計指針(案)・同解説(2002)より)

$\Delta T$について、鉛直荷重に対する検討、地震時荷重に対する検討それぞれの算定方法を以下に示します。

  • 鉛直荷重に対する検討:終局限界状態の設計用曲げモーメントを $M_d$, 梁の有効せいを $d$とすると、略算式より $\Delta T=M_d/(0.9d)$として求めます。
  • 地震時荷重に対する検討:引張鉄筋の降伏耐力とします。ただし、上端引張の場合はスラブ鉄筋を含め、強度倍率(荷重・材料>材料強度>鉄筋の強度倍率と、計算条件>終局検定計算条件>終局検定条件3の標準上限強度倍率の重ね掛け)を考慮します。

ここで、
$M_d = \alpha \cdot M_{DL} + \beta \cdot M_{LL}$
$M_{DL}$:固定荷重に対する曲げモーメント
$M_{LL}$:積載荷重に対する曲げモーメント
$\alpha$, $\beta$:それぞれ $M_{DL}$, $M_{LL}$に対する荷重倍率

$\Delta l$の算定方法は、端部から下式の2次曲線の $M=0$となる位置(近い方)までの距離とします。

$M = M_1 + \frac{-M_1 - M_2+4 \cdot M_0}{L} \cdot x - \cfrac{4 \cdot M_0}{L^2} \cdot x^2$

ここで、
$M_1$, $M_2$:端部モーメント, $M_1$は下側引張を正, $M_2$は上側引張を正とします(鉛直荷重時は、荷重倍率 $\alpha$, $\beta=1.0$とした設計用モーメントとします。地震荷重時は、両端のヒンジ発生モーメントとします。)
$M_0$:単純梁の中央モーメント, 下側引張を正とします
$x$:採用応力位置
$L$:部材長

使用限界状態におけるせん断強度

下式により求めます。

$\tau_u = 0.5 \cdot \mu \cdot ( p_w \cdot \sigma_y + _{r}p_w \cdot _{r}\sigma_y ) = 0.5 \cdot \mu \cdot p_w' \cdot \sigma_y$

ここで、
$\mu$:水平接合面の摩擦係数
$ p_w$:あばら筋の体積比
$ _{r}p_w $:補強筋の体積比
$\sigma_y$:あばら筋の降伏強度
$ _{r}\sigma_y$:補強筋の降伏強度

終局限界状態におけるせん断強度

下式により求めます。

$\tau_u = \mu \cdot ( p_w \cdot \sigma_y + _{r}p_w \cdot _{r}\sigma_y ) = \mu \cdot p_w' \cdot \sigma_y$