偏心率

偏心率

偏心率 $R_e$の計算式を以下に示します。

$$ R_e = \frac{e}{r_e} \leqq 0.15$$

$e$ :偏心距離(mm)

$r_e$:弾力半径(mm)

偏心率を計算するために、階ごとに重心、剛心を求めます。

(1) 重心

各階の重心は、鉛直荷重を支持する柱の長期荷重による軸力Nおよびその部材の平面座標から計算します。

$$g_x = \frac{\sum(N_i \cdot x_i)}{\sum N_i}$$ $$g_y = \frac{\sum(N_i \cdot y_i)}{\sum N_i}$$

(i:柱番号)

(2) 剛心

剛心は、その階の柱の水平方向剛性の中心として求めます。各柱の水平剛性は、地震時応力解析結果のせん断力と層間変位により計算します。

水平方向に対する剛性は、水平荷重時の応力と変位を用いて計算します。

$$k_i = \frac{Q_i}{\delta _i}$$ $$l_x = \frac{\sum(k_{Y_i} \cdot x_i)}{\sum k_{Y_i}}$$ $$l_y = \frac{\sum(k_{X_i} \cdot y_i)}{\sum k_{X_i}}$$

(i:柱番号)

(3) 偏心距離 $e$

偏心距離は、重心及び剛心の座標から次式のように計算されます。

$$e_x = |l_x-g_x| , e_y = |l_y-g_y|$$

(4) ねじり剛性

剛心周りのねじり剛性を各階毎に1つ求めます。剛心周りに計算を行うので、座標の平行移動により剛心を座標原点とします。新しい座標系を $\overline{X_i}-\overline{Y_i}$ とすれば、各柱の座標は、

$$\overline{X_i} = X_i-l_x , \overline{Y_i} = Y_i-l_y$$

となります。各柱の剛性は、座標変換による変更はしません。剛心周りのねじり剛性Kは、

$$K_R= \Sigma (K_{X_i} \cdot \overline{Y_i}^2)+ \Sigma (K_{Y_i} \cdot \overline{X_i}^2)$$

により求めます。Σは、X方向及びY方向それぞれについての耐震要素の和をとります。

(5) 弾力半径 $r_e$

$r_e$は弾力半径です。X,Y方向検討時のものをそれぞれ $r_{e_x}$$r_{e_y}$とすると、

$$r_{e_x} =\frac{ \sqrt{K_R}} {\sum K_{X_i}},r_{e_y} =\frac{ \sqrt{K_R}}{ \sum K_{Y_i} }$$

となります。

(6) Reの計算

X,Y各方向に対する偏心率をそれぞれ $R_{e_x}$$R_{e_y}$とすると、

$$R_{e_x} = \frac{e_y}{r_{e_x}}, R_{e_y} = \frac{e_x}{r_{e_y}}$$

となります。

(7) 雑壁の剛性評価

剛性率・偏心率を求める際、雑壁の剛性 $K_w$は、n倍法にて計算されます。 次式により雑壁の剛性を $K_w$’求めます。

$$K_w' = n \cdot A_w' \cdot \frac{\Sigma K_c}{\Sigma A_c}$$

ここで  $A_w'$:雑壁の断面積

$\Sigma A_C$:当該階の柱の断面積の和

$\Sigma K_C$:当該階の柱の剛性の和

$n$  :雑壁の剛性を柱の剛性から求める場合の係数で、入力した値

ただし、 $\Sigma A_C$が0の場合は、 $\Sigma K_w'$を0とします。

 偏心率の計算は常に弾性解析結果から計算されます。応力解析条件で「許容応力度計算時の応力解析方法」を「弾塑性解析結果」とした場合にも弾性解析の結果を採用します